精神性(ストレス)発汗

 先日来院された患者さん(女性)は、電車やバスなどに乗ると「首から顔にかけて火照りを感じ、頭や項(うなじ)からの汗が止まらなくなる」といいます。冬でも環境(混雑・熱気等)によってはそうなるらしく、ましてやこの季節はどうしようもなく、外出する前から不安だと零(こぼ)します。なんとかしてあげたいものです。
 
 発汗には、暑いときに体温調整(放熱)をするための温熱性と、緊張したときに冷やせ汗をかく精神性があります。上記の発汗は「冬でも」という点と発汗に対する不安から後者に該当するんだと思いますが、精神性は主に手掌・足底・腋窩(わき)にかくため、一概にそれだと決めつけられません。発汗するのが頭と項ということで、この場合は「局所性多汗症」として自律神経及びホルモンバランスの失調を疑うのが妥当なのかもしれません。とはいうものの緊張や不安はストレスとして脳で認識され、自律神経(ホルモン分泌含む)に影響を与えることが解明されていますので、結局は精神性でよいのかもしれません。回りくどくなりましたが、このあたりに原因があるのだと思います。。と、ここまで書いて「芸者の高帯」のことを思い出しました! これは半側発汗といわれるもので、胸の上部を帯で強めに締め付けることで顔汗を防ぐ方法です。この患者さんへは、不安を紛らわす意味でも、まずこの方法を紹介したい思います。

 そして最後にいわずもがなですが、鍼灸治療は脈を整えることからも自律神経の調整に適っていることを書き添えておきます。