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東洋伝承医学の臓腑とは (その1)

 東洋伝承医学の根本は「気」の概念だといっても過言ではありません。そしてそれは陰陽論・五行説を背景として分類されています。「気」は、全身をめぐる通り道である経絡(けいらく)を流れ、全身を循環し栄養、防衛しています。(元気・宗気・営気・衛気などに分類されている)
 また「臓腑の気」(機能的作用)も各臓腑の活動を支えると同時に全身の経絡をめぐっています。そのため「臓腑の気」のトラブルも経絡上に現れます。
 東洋伝承医学に関心をお持ちの方に上記のことと併せてご理解いただきたいことがあります。鍼灸治療・漢方処方などでいうところの「臓腑」である肝(胆)・心(小腸)・脾(胃)・肺(大腸)・腎(膀胱)などは、西医(病院)のいう肝臓・心臓・脾臓・肺臓・腎臓とイコールではないということです。特に東洋伝承医学の「脾」は脾臓というよりも十二指腸や膵臓に近い機能を有しています。したがって鍼灸や漢方の診断として「肺と脾が病んでますね」などといわれても肺臓や脾臓の病気(器質的)ではありません。ご注意ください。(このトラブルがよくあります)

 ちなみに肝臓・心臓など日本での解剖学名は杉田玄白らが「ターヘル・アナトミア」(解体新書)を和訳する際、東洋伝承医学の臓腑を参考に位置や機能が近いもを配当したといわれています。滋養庵