忘己利他

 「忘己利他 (もうこりた)」という仏教の言葉があります。己(おのれ)の事は後回しにして、他(人)の利を優先する慈悲だと私なりに解釈しています。この言葉の重みは、人と接する仕事をしていると殊更です。施術後、患者さんを見送り、いざ施術を振返ると、患者さんの気配がまるで見えてなかったり、自画自賛の為の治療をしていたりと、、、汗顔の至りと云いますか、ただひたすら反省しきりです。
 鍼灸学校卒業時、先生方から異口同音に「臨床の現場では、患者さんから多くを学びなさい」とのお言葉をいただきました。今になって思うのは「患者さんから多くを学ぶ」と、「忘己利他」を実践していくことは一緒だということです。日々精進。滋養庵