· 

本治(ほんち)は大切

 医経(黄帝内経)に基づく伝統鍼灸(現在は本家中国を始め日本以外の国では現代鍼灸が主流)の治療では、標治(ひょうち)、本治(ほんち)という定義があります。標治とは、症状が現れている患部への直接治療をいい、本治とは、表には現れない病の根本を治療することをいいます。たとえば、腰痛や肩こりの患者さんの多くは、その背景にストレスなどの精神疲労をかかえています。この場合、腰や肩への直接治療が標治です。そしてストレスや精神疲労を癒すための気の調整が本治となります。治療に本治を加えた施術と、標治のみの施術では、予後が違うことは言うまでもありません。
 「治未病」(*未病治という言葉が氾濫していますが正しくは治未病です)という言葉を聞いたことがあると思います未だ病まざるを治すことは文字通りとても大切です。前述のケースでは、精神疲労を放置しておくと第二、第三の症状が次々に現れてきます。たまには症状の背景(根本)と向き合ってみませんか。滋養庵