胆氣の不調

 猛暑に加え断続的なゲリラ雷雨という気象状況下、余計な神経と体力を使い、お疲れのことだと思います。その不安定な空模様の所為だとは言いませんが、私、近頃どうも決断力に乏しく物事の判断に戸惑うことが多々あります。特に些細なことに対してが顕著なのでホントに嫌になってしまいます。例えば、当初買うものを決めて行ったスーパーやコンビニで急に定まらなくなる。あるいは、レコーダーに録画した番組を削除するか否かみたいな微々たる決断に迷ってしまうといった具合にです...
 黄帝内経(こうていだいけい)において「決断」といえば、胆(胆氣)です。胆は、「中正の官」であり、決断と勇気を主る(つかさどる)と説かれています。ちなみに一般の辞書で「胆力」と引くと、恐れたり尻込みしたりしない精神力とあります。総合すると胆の不調は、些細なことにもビクビクして決断を下せなくなるということになります。まさに今の自分はコレです。では、コレを治療する場合を考えましょう。当然ながら足の少陽胆経(陽)ということになりますが、鍼灸の場合は、陰陽の関係性が深い足の厥陰肝経(陰)の治療を先ず考えます。肝経(陰)と胆経(陽)は陰陽パートナーです。その関係に「陰主陽従」(いんしゅようじゅう)という鍼灸医学の基本法を併せると肝経(陰)優先となるわけです。字のごとく陰経を主とすれば陽経はそれに従うということです。実際、古典派の多くの鍼灸師はこの方法で治療しています。というわけで肝+(胆)の穴(つぼ)に、お灸でもすえて胆氣を高めたいと思います。滋養庵