足の裏が熱い...て?

 9月初めの昨日は、私が現在唯一参加している勉強会「脈診会」でした。毎回、師匠の鈴木眞幸先生が、ある症例を題材に黄帝内経の哲学をどう解釈し臨床に落とし込んでいくかをご指導くださいます。今回は、八十過ぎのご高齢女性二名の症例が対象でした。主訴はともに腰痛なのですが、それぞれの随伴症状の中に、私がまだ診たことのない共通点がありました。「足の裏が熱い」という症状です。一般的(東洋医学として)な考えでは、高齢者は、加齢とともに腎の氣の陰陽失調をきたし、いわゆる上実下虚(健康な状態である頭寒足熱の逆)頭部が熱く足部は寒い状態になりやすいはずです。ところが「足の裏が熱い」とはどういうことでしょう???
 原因には、肝の氣の関与(失調)がありました。ここでは黄帝内経の引用など難しいことは省き結論だけ述べます。この場合の上実下虚は「肝実腎虚」で、これがポイントのようです。影響として「熱厥」と「寒厥」という対照する症状を発症するとの記述もありました。「厥(けつ)」とは尽きることであり、上逆、失調の意味もあります。陽氣が勝つと「熱厥」となり熱く。一方、陰氣が勝つと「寒厥」となり冷たいということになります。これは衝撃でした。帰りの電車の中、レジュメを読み返し、陰陽の失調、上実下虚を単純に考えて身体を診ることの軽率さを猛省したことは云うまでもありません。滋養庵