経穴の概要

 今回は、経穴(けいけつ=ツボ)の概要について書きたいと思います。
 鍼灸師の養成所(専門学校)を取り仕切る、社団法人東洋療法学校協会が指定する教科書「経絡経穴概論」によると、WHOが定めた基本穴は361穴であり、これを経穴と呼ぶことになっています。これらはすべて十四経脈(正経十二経脈+奇経八脈の中の督脈、任脈の二脈)に属しています。この他、いずれの経脈にも属さない奇穴(きけつ)や、阿是穴(あぜけつ)と呼ばれる穴(ツボ)があります。阿是穴とは、押すと心地よかったり、圧痛を感じたりするのですが、名称も部位も定まっていない穴をいいます。ちなみに阿是穴の語源は「阿(あー)是(これ)が穴(つぼ)」という単純明快なものです。
 さて経穴に入ります。経穴は全361穴あるわけですが、臨床で使用する場合は、重要な役割をもつ要穴(ようけつ)が中心となります。代表的な要穴は、五要穴(ごようけつ)と五兪穴・五行穴(ごゆけつ・ごぎょうけつ)と呼ばれる役割を与えられた経穴です。これらは正経十二経脈に配当されています。経脈(正経十二経脈)ごとに五要穴が5穴、五兪穴・五行穴は同意義ですので、これも5穴で合計120穴(10×12経脈)になります。実践では更に絞り込んで選択しますので、鍼灸師が常時“引出し”に入れいている経穴は50~80穴程度くらいだと思います。私も、ざっと数えましたら60~70穴程度でした。要穴は、その他に四総穴(しそうけつ)、八会穴(はちえけつ)などの群がありますが、ややこしくなるので今回はこのあたりで止めておきます。急に寒くなりましたので、温かくしてご養生ください。滋養庵