心の病は体表に~ペット編

ハッチ(黒)に絡まれるシマゾー
ハッチ(黒)に絡まれるシマゾー

 現代では、ペットもまた人間と同じようにストレスを抱えているといいます。
 愛猫のシマゾー(10歳/オス/去勢済み)は、生後2~3ヶ月の時に我が家の一員になりました。以来、“ひとり息子”として、大切に育ててきたつもりです。しかし、その過保護な飼育がいけなかったのでしょうか。彼は、とても臆病(内弁慶)で神経質な性格に育ってしまいました。7年前(当時3歳)には、後ろ足が発作的に痙攣する、「心因性の癲癇(てんかん)様症候」を発症しました。「癲癇様」というのは、精密検査の結果、脳に異常は見られず、発作の痙攣だけが癲癇の症状のひとつに似ているからだそうです。また、5年前(5歳時)からは、自身の毛を執拗に舐めて脱毛させる、「ストレス過剰グルーミング(心因性脱毛)」を発症しました。猫は、体の洗浄目的以外に、怒りや恐怖(いわゆるストレス)などを感じた時にも、毛を舐めて(グルーミング)気を落ち着かせようとします。それを過剰に、つまり強いストレスを感じると、その部分が脱毛してまでもグルーミングを執拗に繰り返すそうです。残念ながら、いずれの症状も根っこは心ですので、これといった解決策もなく、現在も症状は続いています。そんな彼に対して私たちは、ケアはおろか、またひとつストレスを与えたようです...。

 今年の8月に突如として迷い込んだ子猫は、当時まだ生後1~2か月でした。考えたあげく保護し、飼育することにしました。ハッチと命名(現在生後5か月/オス /来月去勢手術予定)。当初は先住猫であるシマゾーとの折り合いが心配でしたが、徐々に慣れてきたようで、最近はシマゾーがハッチを舐めてあげていたり、2匹並んで寝ていたりしています。そんな姿を見て、懸念していたシマゾーの心への影響も大丈夫だとタカをくくっていました。しかし、それは大変な思い違いでした。シマゾーの心はとても深刻だったのです。
 いつものようにハッチに絡まれているシマゾーの体を見て「ハッ!」としました。脱毛が以前にも増してかなり拡大していたのです...。シマゾーはずっと耐えていたのです。それからというもの、シマゾーをよく観察していると、足の痙攣も以前より多少激しくなっているような気がします。もちろん今更、ハッチをどうこうすることもできません…。

 今後は、私たちにできる最善のケアをよく考え、猫たちが共にリラックスしていける環境作りに努力したいと思います。滋養庵