競走馬の笹針(ささばり)

 今週末は競馬の祭典「有馬記念」ということで、スポーツ紙も「あの馬、この馬」と煽っておりますが、さて今年の結果はどうなりますやら。
 さて、その競走馬ですが、“はり治療”をやっているのをご存知でしょうか。「笹針(ささばり)」といって、いわゆる瀉血(しゃけつ)療法です。筋肉の疲労やコリによってできた於血(おけつ=主に毛細血管にできる鬱血や血行障害のこと)に針を施し、故意に出血させ、血液循環の改善と筋肉疲労をとる療法です。ポイントよく於血に命中すると黒いドロっとした血液が出てきます。この黒い血液は、流れが滞って鬱積した血液です。本来なら血液循環によって浄化されていくのですが、毛細血管が詰まってしまい於血となってしまったわけです。(*鍼灸師が患者に施す場合は、刺絡(しらく)といい、専用の三凌鍼(さんりょうしん)という鍼を使います)
 競走馬の話に戻ります。日々目標のレースに向けて調教を行う競走馬は、筋肉の疲労が溜まるとコズミや跛行(はこう)を見せるそうです。そうすると獣医さんが足腰の於血を見つけて、そこに笹針を施します。その後、数日間は完全休養となるので、競走馬にとっては「癒しの笹針」なのではないでしょうか。参考までに、笹針を施した競走馬が出走する時には、競馬新聞の出走表に「笹針・放牧明け」などの記載があります。笹針や休養の情報は、重要なファクターのひとつでもあります。
 さてさて有馬記念です。全頭無事に完走し、レース後はゆっくり休養していただきたいものです。滋養庵