ジョアン・ジルベルト エピソード2

「ブラジルの至宝」「ボサノバの神様」と謳われる一方で “変わり者”とも評されるジョアン・ジルベルト。
彼のステージパフォーマンスのひとつに「フリーズ」というのがあります。私は2004年の公演時に初めて遭遇しましたが、とても衝撃だったので今でもはっきり憶えています~
ある曲を歌い終えて拍手喝采の中、ギターのボディに手を置いて、うつむいたジョアン。はじめは床に貼ったカンペでも見ているんだろうと思ってみていましたが、そのまま静止してしまい、次第に不安になりました。なにしろ気分屋で有名な彼ゆえ「拍手を嫌ったのか?」とか「気分がのらないのか?」などと、いろんな憶測が頭を駆け巡ります。しかしジョアンは微動だにせず、そのまま30分経過しました。もしかしたら、お歳ゆえ具合でも悪くなったんじゃないのかとステージのジョアンを凝視していたら、ようやく関係者がステージに現れ、ゆっくりと彼に歩み寄り肩を軽くたたきました。するとジョアンは頭を掲げ、照れくさそうな素振りで何度か会釈してように見えました。ジョアンは無事だったんですね。これがその後、伝説となる「フリーズ」だったんです。

かくして歌とギターは再開され、今までに体験したことない感動を与えてくれました~
後日、公演を前列で観ていた人のブログで知ったのですが、ジョアンは下を向いて泣いていたそうです。そして頭を掲げたときに日本語で「アリガトウ」と言っていたそうです。どうやら日本のファンの待望熱が伝わり、ジョアンが逆に感動し、その素晴らしい空間に感じ入っていたようなのです。そのことを知ってこんどは私が涙したことは言うまでもありません。ジョアン・ジルベルト、最高!

 

明日、明後日は、学会のお手伝いのためブログはお休みします。