新しきが花、珍しきが花

 先週の土曜日、能楽師・辰巳満次郎さんが主催する「満次郎の会 第7回東京公演」を観てきました。

テーマが「続 盛衰無常」ということで世の無常、とりわけ源義経に焦点を当て、構成された素晴らしいものでした。

特に私が感心したのは、新しい試みとして、メインの能の前に異例の「能解説落語」が入ったことです。

伝統芸能通で知られる噺家の桂吉坊さんが、直後に演じられる能「烏帽子折」のストーリー(解説)を創作落語にして講じたのですが、これには正直驚きました。でもこのおかげで私のような無教養者も今回は能に引き込まれて堪能できたわけです。能って素敵だったんですね!

ふと、以前テレビでやっていた世阿弥さんの「風姿花伝」を解説する番組にあった、”新しきが花、珍しきが花”という言葉が頭に浮かびました。一見、古きものへの改革のようなイメージにとらわれますが、伝統そのものを改革するのではなく “その良さ”を、新しい、珍しい手法でどう広めていくのか、どう伝えていくのか、ということだったのではないかと勝手に解釈して感動めいたものを感じていました。

今回、満次郎さんの素晴らしい演出にふれ、甚だ能の伝統には及びませんが日本伝統鍼灸を継承する者のひとりとして、多くの人に広く認知していただくために何をすればよいのかを改めて考えされました。