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三陰交は何故、婦人科特効穴なのか

 仕事始めの本日は鍼灸師も意外と知らない 三陰交穴の真実について述べてみたいと思います。
 まず三陰交穴は、正経脈(一般にいうところの経絡)では足太陰脾経に属しています。脾経の主な病症(および主治)は消化器系や全身の重苦しさ(むくみ等)などです。流注的(気の流れる道筋)にみても生殖器には関わりません

 それなのに何故、三陰交穴=婦人科疾患のイメージが定着したのでしょうか。その答えは、奇経八脈(きけいはちみゃく)という一般的には馴染みのない経脈にあります

 奇経八脈の中のひとつであり中枢的存在の衝脈(しょうみゃく)は、包中(子宮)に始まる、生殖器との関わりがとても深い経脈です。三陰交穴はその衝脈上の要穴(重要な穴)なのです。そのことにより「婦人科疾患には三陰交穴」が定着しているのですが、そのことはあまり知られていません。それは何故でしょうか。それは正経(脈)と奇経(脈)という名称の所為であり、本来は同時に両輪のごとく連動しているにもかかわらず、鍼灸界が正経のみに重きをおいているからにすぎないのです。少々深い話でしたが、ご理解いただけたでしょうか。(参考:山下詢著「正奇経統合理論とその臨床」)
 というわけで、三陰交穴が婦人科疾患の特効穴なのは脾経というわけではなく、衝脈に属しているからということを新年早々に申し上げておきたいと思います。「三陰交、サイコー!」

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