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奇経八脈の誤解

 一昨日の三陰交に引き続き、奇経八脈(きけいはちみゃく)についてもう少し書きます。
 まず奇経八脈とは、任脈、督脈、衝脈、帯脈、陽蹻脈、陰蹻脈、陽維脈、陰維脈の八つの経脈をいいます。

 そのうち任脈と督脈は、性格上(独自の経穴を持つ)、十二正経脈に加わえて十四経脈とし、それを一般的に“経絡”と呼んでいます。言い換えるとこの十四経脈がいわゆるメジャーで、残された六脈はマイナーということになります。そのため基礎を学ぶための専門学校でもほとんど教えません。それゆえにあまり馴染みがなく、誤解され続けてきた奇経八脈。ところが本当は生命力の賦活(底上げ)に欠かせない重要な経脈だったのです。
 そのことを深く説明しているのが山下詢先生の著書「正奇経統合理論とその臨床」です。そこには『奇経八脈はすべて直接、間接的に子宮、腎(精)や会陰に連結している。したがって奇経治療は、生体の先天的生命を全面的に補強することになる』とあります。そしてもうひとつ、テレビCMでも流れている黄帝内経素問上古天真論の『女子は七歳にして腎気盛んに、歯更り髪長ず、二七(14歳)にして天葵至り、任脈通じ、太衝(衝脈のこと)の脈盛んにして月事時を以て下る、故に子有り・・・・』。これは、女子は14歳になって「葵」の水・腎の天年を迎えると、奇経の任脈と衝脈がはじめて流通し、機能し始め、メンス(月事)が周期的になり・・・(中略)。ということですが、ここでは奇経がとくに女性にとって重要な経脈であることがわかります。
 さて、奇経八脈の誤解については、まだまだ書きたいことがあるのですが、長文になってしまっては、読まれない可能性が生じますので本日はこのくらいにしておきます。(苦笑)