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鼻が利くドラマ

 今週放送された刑事ドラマ「相棒」で、興味深いセリフがありました。それは、主人公(杉下右京)の相棒(冠城亘)と、鑑識(米沢守)が2回に渡り発した「嗅覚と海馬の密接な関係」というフレーズです。あわてて調べてみると、なるほど!嗅覚というのは他の脳神経とは異なる伝達回路を持っていたんですね。(専門学校で学んでいるはずなんですが...恥)
 嗅覚は、記憶に深く関与する海馬や情動反応に関与する扁桃体がある大脳辺縁系に直接つながる独特の回路をを持っていて、それがあのセリフの根拠だったんです。本当にこのドラマは勉強になります。
 ところで嗅覚障害などの疾患があった場合、鍼灸治療ではどのように対処すればいいのでしょうか。私なりの考えを述べてみたいと思います。
 まず鼻(粘膜)という感覚器(末梢)の部位は肺経、つまり手の太陰脈(陰経)とその“相棒”(陽経)である手の陽明脈(大腸経)の領域ということでいいでしょう。でも鼻腔奥の嗅神経(脳神経)回路が形成される重要な部位はどうでしょうか。このあたりの深部になるとおそらく太陰脈系(陽明脈含む)の領域というより、足の厥陰脈系(肝・胆)や足の少陰脈系(腎・膀胱)+督脈の領域になるのではないかと思います。しかもこれらの脈系は脳に通じていますし、特に肝経は精神疾患に重要な経脈です。これらを勘案すると、根本的な解決策(本治)として、まず足の厥陰脈系(肝・胆)、そして足の太陽脈(膀胱)・足の少陰脈(腎)・督脈から要穴を選択するでしょう。対症療法的(標治)には、手の太陰脈(肺)と手の陽明脈(大腸)からの選択ということになるかと思いますが、それでよろしいでしょうかね?右京さん!?