老人性皮膚掻痒症

 この季節、ご高齢の患者さんによく見らるのが皮膚掻痒(そうよう)症です。肌の皮脂(保湿成分)が欠乏し、乾燥という邪をバリケード(防御機能)できないためパサパサになってしまいます。かゆみも併発するため、神経質になってしまい、ところどころに出血痕がある方も少なくありません。
 この症状の問題因子として声を大にして申しあげたいのが、入浴時の洗いすぎです。発症している方に「お風呂の時、からだを必要以上にゴシゴシ洗ってませんか?」と尋ねると、大概の方がコレに該当します。コレをやると汚れはともかく、バリアになってくれている常在菌まで洗い流してしまいます。結果、肌は防御の盾を失ってしまい、乾燥の邪、燥邪(そうじゃ)にまんまと攻め込まれてしまうわけです。

 でも安心してください。このような方には以前、このブログに書いた「タモリ式入浴法」をおすすめしています。本来、浴槽に充分浸かれば、汚れのほとんどは落ちます。その上で、うなじや腋(わき)、デリケート部、関節、足など汚れの溜まりやすい部分にだけ、石鹸を手にのばして優しく洗浄してください。兎に角、ゴシゴシだけはすぐにやめましょう。これがパサパサからの第一養生です。