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筋=筋肉に噛みつく3月

 母校(鍼灸専門学校)の、2003年発行の小冊子をみていたら、ちょっと気になる記述を見つけましました。
 それは医師であり東洋医学研究家、そして鍼灸臨床家としても名高い、ある先生の講演録からの抜粋文なのですが。それを読むと東洋医学の「筋」と、現代医学の「筋肉」をイコールとしているのです。細かいことですが、これがどうも気に入りません。
 黄帝内経をはじめ多くの古典書を読了されているだろう某先生に私のようなものが見解を述べるのも甚だ無礼だとは思いますが、「筋」=「筋肉」というのは少々乱暴な気がします。「筋肉」は東洋医学においては、むしろ「肌肉(きにく)」ではないかと思うのです(中国語で肌肉=筋肉)。そして「筋」とは、骨や筋肉を動す神経のような働きをするものだと考えています。「筋」は、臓腑では「肝」に属します。「肝」は、「魂」を蔵し、「血」を蔵す。そして「肝」は「筋」を主る(素問)とあります。ここでいう筋は体の特定部分を指すのではなく、筋の運動と支持の機能を指しているんだと学生時代から教えられてきました。そのほうが「肝」だけでなく、肌肉(筋肉)が属する「脾」の役割としても合点がいくのではないでしょうか。
 まあ、某先生も便宜上そう述べたのかもしれませんが、「細かいことが気になるのがボクの悪い癖」(by杉下右京)というこでお許しください。