鍼と針

 本棚を整理していたら『鍼と針』という、一瞬「ん!?」というタイトルの資料に目が留まりました。表紙の下に濱添國弘先生の名前があったので、鍼灸学校在学時の講義のものだと理解しました。

 めくってみると、鍼と針、鍼灸の用字についての解説なのですが、どうも聴講した記憶がありません。私は一体何をしていたのでしょうか。(汗)
 さて鍼と針の文字ですが、資料によると元来、「鍼」の字は「箴(はり)」。竹で小さく作って片方に穴を開け、毛皮を細く箴の穴に通して、衣服を縫う器具だったそうで、それを痛む部位に圧迫したり突いたりしたのが「箴」の始まりなんだそうです。やがて金属が見つけ出され金属で箴を作ったので、箴の左側に金の字を付けて出来たのが、金+箴(変換不可能)で、さらに竹より金属のほうが強くて良いので、上の竹を除いて「鍼」の字になったんだそうです。
 一方、「針」の字は、主に草刺(とげ)針、指針、方針などに使われ、また鍼の俗字としても使われていたようです。そして資料は最後に(中略)、「鍼」は守る意味で、病邪から身を守る意味の字であるから、鍼灸では「鍼」を用いるべきである。「針」は草刺や指方針で、刺すだけであり、治療の意味がないと締めています。
 そうだったんですね。私は自分なりの解釈で、人や行為を指すときに「鍼」の字を用い、物(医療器)として扱う場合は「針」を使っていましたが、基本的には「鍼」をつかうべきなんですね。濱添先生、ありがとうございます。