ホッとする瞬間

 土曜日のこと、背中が痛くて動きが取れないという若い男性の急患がありました。恐らくはこの季節に多い、いわゆる“ギックリ背中”だと思われます。
 話を聴くと、「二日前から患部(右背部)に違和感を感じていた。今日の午前中、仕事で荷物を抱えようとした時、突然激痛が走り、その後は容易に動作できなくなった」とのこと。患部を見ると明らかに腫れているのが分かりました。発赤は目立たたないものの、触ると痛がるので炎症を起こしている可能性大です。まずは患部への直接的な治療は避けることにし、患部の部位を走行する経絡に関連する下肢の経穴(要穴・反応穴)に、はり・きゅうを施しました。その後、本人の訴えのもと患部近くの反応点を施術し、動作時痛の軽減を自他(術者・患者)ともに確認したところで治療を終了しました。彼は鍼灸の遠隔的な治療法にいたく感心していましたが、発症したばかりということもあり、正直なところ祈るような気持で見送りました。
 そして二日後の本日午前中、コンビニへ買い物に向かう途中でした。私の目の前を自転車が颯爽と通り過ぎて行きます。「あれっ!?」 一瞬見えた顔と体格、それに着ているものから、おそらく土曜日の彼です。確認こそできませんでしたが、間違いないと思います。「あー、よかった!」思わず口に出していました。