· 

嗅ぐは聞く

 何気にテレビを点けると「お香は嗅ぐではなく、聞くというんです」というセリフが聞こえてきました。私は咄嗟に鍼灸や漢方で行う診断法の四診を思い浮かべました。
 四診は、望診(視覚による診断)、聞診(聴覚・嗅覚による診断)、問診(問いかけと反応による)、切診(触診)の四つの診断から総合的に病証を判別する方法です。これを教わったときに、なぜ嗅覚が聞診に入るのか不思議に思いました。しかし当時はそれをどうのこうのと考えるよりも先ずは頭に叩き込むことが最優先だったたのでそれ以降もずっとスルーにしてきました。それが偶然に点けたテレビによって呼び起されることになろうとは...
 お香について、その源流にあたる香道をウィキペディアでしらべると、
~香道は禅の精神を大事にし、礼儀作法・立居振舞など約束事の多い世界であり、上達するにつれ古典文学や書道の素養も求められる。しかし、香道の原点は何よりも、香りそのものを楽しむことにある。 香道においては香を「聞く」と表現するのが正式であり、「嗅ぐ」という表現は不粋とされる
とあります。もちろん香道は古代インドから中国を経て伝来されたもののようですので元来、嗅ぎわける(利きわける)のは「聞く」と表現するものだったということなのでしょう。だから聞診に嗅覚が入るということですね。納得。