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腰痛と仙腸関節

 腰痛の中でも臀部から坐骨神経の走行ラインに沿って足の方にまで痛みや痺れをともなうものを総称して坐骨神経痛症といいます。ほとんどの場合が椎間板ヘルニアのように片側におこることが多いのですが、脊柱管狭窄症など椎骨の変性によるものでは両側に症状が出ることも少なくありません。
 さて本題ですが、先日テレビを見ていましたら坐骨神経痛症の改善に仙腸関節(臀部の腸骨と仙骨の関節)の調整を行っているという医師の方が出ていました。なんでも巷では腰痛のゴットハンドだと呼ばれているそうで、クリニックは連日予約一杯だそうです。肝心の施術方法については、歪みを手技矯正とのことで仙腸関節部分を整体のように施術していましたが具体的な説明もなっかたので良くわかりません。まあ“特許術”なのでしょうから仕方ありませんね。でもそれを見ていて改めて思ったのですが、仙腸関節付近には坐骨神経痛症に有効な経穴(つぼ)がいくつかあって、同様の症状に私は頻繁に使っています。ただ私の鍼灸治療の場合は関節そのものを矯正するのではなく、関節周囲(筋肉をはじめとする組織)の動き(血行・循環等)を改善させ、自己治癒力の底上げをもって徐々に関節自体を矯正していくという方法をとります。したがって一回の治療で云々ではなく多少の通院は、ご理解いだきたいところであります。(ちなみに先述したゴットハンドの先生のクリニックでも何回かの通院が必要だといっていました)
 というわけで本日は、坐骨神経痛症には仙腸関節が関わっているとしてテレビなどでも注目されていますが、鍼灸でも元来から重視していますよということを主旨に書かせていただきました。